・ある大手鋳造会社の総務部へ、社内でしか知りえない内容の怪文書が何通も届いている
・また、役員や、取引先へも同じ内容の怪文書が同時期に届いていた
・怪文書の内容は、会社内の人事に関する誹謗中傷や、個人に対する中傷も書かれている
・大ごとにせずに、できるだけ早急に犯人を特定したい
当社に相談に来られた部長さんは、この問題に関して早急に対処し解決したいとのことでした。
まず、当社で提案させていただいたことは「犯人と思われる人達のリストアップ」。
怪文書の内容から考えると社内の関係者の可能性が高いために、その内容に関与している者や知っている者、全ての怪しい人物のリストを作ってもらいました。
また、届いた怪文書をすでに触っている人達のリストアップをしてもらいました。
そして、すでに怪文書を触っている関係者全員の指紋の除外鑑定も必要となるために、関係者の指紋を提供してもらう必要があることをお伝えしました。
最後に、犯人の指紋を秘匿採取する件について説明しました。
※秘匿採取:対象者には告知せず、指紋を採取する方法
これが一番難しい問題で、犯人が触る環境を整える必要があります。
当社でよく提案させていただく方法は、クリアファイルに書類(コピー用紙など)を挟み、犯人に渡した後で回収する方法です。
会社内の回覧板と称してもよいし、適当な理由をつけて署名欄を作っておけば、犯人が多くの指紋をのこす可能性が高くなります。
犯人は、最後に書類をクリアファイルに戻す作業もあるため、クリアファイルと書類が指紋鑑定の対象資料となります。
次に指紋鑑定の実務となりますが、未開封の怪文書1通と開封された怪文書9通があり、これら鑑定物の指紋検出を行ったところ、複数の指紋が検出されました。
このうち未開封の封書からは、指紋の照合に耐えうる指紋が4個検出。
中身は犯人の指紋である可能性が非常に高いものとなります。
犯人が接触した対象資料を回収し指紋検出を行い、その指紋と怪文書の指紋(関係者指紋除外済み)を照合することとなりました。
怪文書から検出した指紋と、秘匿採取した、犯人と思われる人物の指紋の照合を実施した結果は、以下になります。
一番怪しいとされる従業員Aの指紋とは合致せず、その人物と交流が深い従業員Bの指紋と一部合しました。
後日、更に従業員Bの指紋を秘匿採取し、追加検出にて、全部合致が認められることとなりました。
なお、複数犯の可能性も視野に入れ、後日、従業員Bの素行調査を実施した結果、郵便ポストへの怪文書投函と、一番怪しいとされていた従業員Aとの接触が認められました。
結局、従業員Aの指紋は検出されることはありませんでしたが、素行調査で従業員A、Bが居酒屋で会話をしている際に、事件に関与している内容の会話を調査員が聴取することに成功。
この事実をもって依頼者は当該社員に事情を聞き、二人とも犯行を認めたとのことです。
【参考情報】
怪文書、嫌がらせ、誹謗中傷の被害対策/犯人を特定する!
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