指紋鑑定について、ご自身では「あまり関係がない」「ドラマや映画の世界のもの」と感じている方も少なくないでしょう。
しかし、ある日突然、トラブルに巻き込まれて、あるいはさまざまな問題の解決を求めて、指紋鑑定の相談に来られる方は意外と多いものです。
ここでは、現役の指紋鑑定士が「指紋鑑定の種類」や「鑑定書の利用方法」について解説いたします。
「目次」
指紋鑑定のご依頼は、大きく分けて2パターンに分けることができます。
1つめは、訴訟などにおける裁判用の証拠・意見書として、あるいは反証資料として指紋鑑定書を作成したい、というご要望です。
2つめは、ご自身でトラブルを解決したい、現状を把握したい、という事情から指紋鑑定の依頼を希望されるパターンで、
・嫌がらせの手紙、誹謗中傷、怪文書の犯人を特定したい
・警察に相談しても相手にしてもらえなかった
・家庭内窃盗の証拠をつかんでおきたい
・会社内、職場で盗難事件が起こったので、犯人の指紋を採取したい
・トラブルに巻き込まれたかも!とにかく早く問題を解決したい
これらのような問題の解決を求めてご依頼に至ります。
指紋鑑定の種類としては、大きく分けてトラブルの自己解決を求めるパターンと、裁判用の鑑定書作成の2パターンに分けられるといってもよいでしょう。
これは、訴訟や裁判の証拠、反証資料として使用できるような書式を使って、指紋鑑定の判定結果を冊子にまとめたものになります。
裁判官、弁護士や関係者に対してプレゼンテーションをする目的で利用されます。
検出した指紋から、可能な限りの対照箇所を使用し、多角的な判断基準から説得力の高い結論を導き出していきます。
簡易的な判定方法と比べると高額になりますが、相手の弁護士や関係者へプレゼンを行うのに最適な記録書式で記述されるため、分厚く、説得力のより高い証拠、反証資料となります。
弁護士や裁判官に対して「どれだけ説得力を持たせた証拠なのか」を重視しして、法曹界関係者へ対応した書式で、裁判証拠用の指紋鑑定書を作成発行いたします。
裁判用に指紋鑑定書を作成する場合、正本のほかに、通常2部の副本が必要となります。
通常以下のような項目が記載されます。
・実施日
・依頼人の身元
・目的
・対象物、指紋の出所
・使用した機器、薬品類
・用いた方法、手法
・結論
・検出状況と遺留指紋について
・結論に至る経緯の詳細説明(判断理由の根拠、説明)
・鑑定士の経歴
※アール・アンド・アイでは、多数の裁判、訴訟案件を担当している多くの弁護士や、日本全国の地方裁判所からの依頼を、長年にわたってお引き受けいたしております。
・依頼者が自分で真偽を確認し、納得するため
・社内処分
・個人間での交渉
これらのように、一般人間での交渉事に多く使用されます。
簡易指紋鑑定の大きな特徴は、万人にわかり易い形式で作成されている、ということです。
また、一般簡易(自己納得型)の指紋鑑定書であっても、裁判証拠として提出することは可能です。
しかし、裁判証拠として提出する場合の重要ポイントは、裁判官に証拠として認めてもらえるかどうか、になります。
一般簡易指紋鑑定では、証拠として不十分となる可能性もあるため、注意が必要です。
指紋鑑定士とは?
指紋鑑定士は、国家によって定められた資格を持ちません。
ようするに、国家資格というものがなく、極端な話、自称すれば誰でも「指紋鑑定士」として名乗ることが可能です。
しかし、実際の作業や使用する薬品の特殊性、判定結果への信頼性から、専門企業・警察OBなどが、民間の研究所や民間機関を立ち上げるケースが多く見受けられます。
指紋鑑定士においては、根拠と科学的な判断力、実績が必要となります。
そのため、照合した指紋が合致すれば、そこに個々人の主観は入りようがありませんが、資料の状況を正確に把握しておかなければ、その結論が有効な証拠、判断材料とされない可能性もあります。
特に裁判の証拠として認められるかどうかは、裁判官の一存にかかっています。
裁判官が「信用できる」と考えるような、指紋鑑定書の内容や経歴を持つ鑑定士を選ばなくてはいけません。
その信用性を測るとき、鑑定士がこれまで、
・どのような実績を持ち
・どれだけの数の指紋鑑定を行い
・実務をどこで勉強したのか
・公平に判断を行っているか
このようなことが重要なポイントになるのです。
以下、裁判所のパンフレットより抜粋
鑑定人とは
中立、公正な立場で鑑定を行う人です。
鑑定人は、専門的な学識・経験を有し、かつ社会的にも信頼されている専門家の方々の中から、裁判所が依頼します。
鑑定人は争っている当事者のどちらか一方の立場に立つのではなく、中立、公正な第三者の立場から、専門的な学識・経験に基づいて鑑定を行っていただきます。
鑑定結果は、鑑定人御自身の責任で出していただきますが、鑑定作業を補助者に手伝わせたり、他の専門家の意見を参考にすることは差し支えありません。
【参考サイト】
裁判所ホームページ
裁判所のパンフレットには、このように記載されています。
指紋鑑定において、鑑定人は、社会的にも信頼されている専門家であり、中立、公正な第三者の立場から鑑定を行わなければなりません。
【参考情報】
指紋を採取する方法|指紋採取できるものとできないもの
指紋は証拠になる?
指紋鑑定の依頼をすべきかどうか迷っている方へ
鑑定結果におけるお取り扱いについて
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