指紋を採取する場合、検体そのものの材質によって使われる薬品が異なります。
また、一度でも指紋検出を行うと、検体に大きなダメージを与えてしまい、再検出が不能になることもあるため、適した方法で指紋採取をする必要があります。
その上、危険物指定を受けている薬品も多く、取り扱いのできる業者はあまり多くありません。
R&Iが指紋を検出する方法、採取できないもの、検出しやすい材質、指紋の残留期間などについて詳しく解説していきます。
「目次」
①秘匿採取:対象者には告知せず、指紋を採取する
②任意採取:対象者と協力の元、指紋を採取する
指紋を採取する方法で一般的に、よく知られているのは、テレビや映画等でおなじみの、アルミニウムなどの粉を、刷毛でパタパタと付けて指紋採取する方法です。
あれは、まさに指紋を採取しているシーンですが、その他にも数多くの指紋検出方法があります。
指紋を検出する検体はさまざまです。
素材、材質(プラスチック、紙、紙幣、ビニール、ガラス)、色、環境によって、指紋採取の方法や、検出するための薬品を使い分けていく必要があります。
ここでは、指紋採取方法として代表とされる4つをご紹介いたします。
粉末法は、指紋を採取するものに粉末(アルミニウム粉、蛍光粉など)を付けて、ハケで余分な粉末を払い、指紋に粉を付着させて検出する方法です。
透明の転写シートやゼラチン紙に転写するか、特殊撮影方法を使用して、指紋の紋様を確認します。
粉末法は、主にガラス、金属製品などから指紋を検出する際に使われます。
液体法は、ニンヒドリンなどの液体を、指紋採取するもの自体に湿布、噴露あるいはどっぷりと浸します。
その後、電気的に加熱させて反応を出し、指紋を検出して採取する方法です。
液体法は、主に紙類(紙幣や段ボール)や木製品などからの指紋採取に有効です。
気体法は、指紋検出薬(シアノアクリレート、ヨウ素、デベロッパーなど)をガス化させて、密閉空間の中で反応させて指紋を検出します。
気体法は、主にプラスチック製品や革製品などからの指紋採取に使われる方法です。
光(レーザー)法は、発光薬を付着させ、そこに特殊な光を当てて、指紋を検出していく方法です。
この方法は扱いにくい表面でも採取が可能で、「分子レベルで作用するため、非常に正確で、紋様を損傷するリスクも少ない」といわれています。
【参考情報】
Kang Liang リリース記事
もしもトラブルに巻き込まれてしまったり、指紋を照合して犯人を突き止めたいというとき、犯人が触ったと思われるものについている指紋と、犯人と疑う人物の指紋を照合しなくてはなりません。
ここからは、該当者と思われる人物の指紋の採取方法を解説していきます。
秘匿採取とは、コップやクリアファイル、書類など、日常的に触れるものから指紋の検出を行う方法をいいます。
この方法は、指紋を確保しやすいのですが、採取した紋様が部分的たっだり、擦れていて照合するのが困難、正確性に欠けるという難点があります。
秘匿採取で指紋鑑定を行うときには、複数の比較対照物を用意して、成功の可能性を高め、難点を克服するとよいでしょう。
また、秘匿採取であっても、民事事件の場合、著しく違法でない限りは証拠として認められます。
任意で指紋の押印用紙に10指の紋様を押印してもらいます。
指紋鑑定の場合には、特に専用の道具を使用したほうが確実です。
また、指紋の押印に関して、ある程度知識を持った人材の立会いの下、実施するのが確実といえるでしょう。
指紋は、色々なもの(検体)から採取することができます。
しかし、指紋採取しやすい素材があれば、指紋を採るのがむずかしいものもあります。
ここからは、指紋検出しやすいものと、むずかしいものをご紹介しますので、もしも秘匿採取を検討している、あるいは指紋鑑定を検討されている方は参考にしてください。
・コピー用紙、紙幣、封筒などの紙類
・コップなどのガラス製品
・表面に凸凹のない金属、プラスチック製品
・和紙や半紙等、表面がざらざらしている紙類
・革製品
・毛糸、目地の粗い布製品、洋服
・極端に接触面積の小さいもの
・日常的に接触人物が多いもの
盗難事件でよくみられる革製のバッグや財布は、革製品自体に油・汚れがつきにくいような加工がされていたり、革と指紋成分が反応してしまい、劣化が激しいために指紋の検出、照合の難易度が高くなります。
しかし、現在では技術の向上や、薬剤の改良により、指紋を検出することが難しいといわれていた材質であっても指紋採取や照合が可能になっています。
他社で断られた、
無理かもしれない、
このように、あきらめてしまう前に、一度ご相談ください。
【参考情報】
指紋検出の成功率を上げるための基礎情報
指紋が残っている期間は、付着している物の材質と保存環境によって大きく変わります。
保存状況にも左右されますが、紙類は残留期間が長く、何十年でも指紋が消えずに検出可能という場合があります。
しかし、水に濡れてしまうと、すぐに消えてしまったり、直射日光が当たる、カビの生えるような湿気の多い場所などの環境下ですと、おおよそ1~2年と短い期間で消えてしまいます。
プラスチックやビニール、ガラス、金属などは2~3ヶ月しか指紋が残らず、さらに乾燥や直射日光による紫外線の影響がある場合には、たった数週間で消えてしまいます。
長期間における指紋の保存は、保存状態や環境に左右されやすく、経年劣化の影響も大きくなってしまいます。
指紋採取を検討している場合には、できるだけ早めに検出した方がよいといえるでしょう。
【参考情報】
指紋を照合する方法|検出、採取した指紋の照合方法
指紋は証拠になる?
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