某映像製作会社からの相談である。
社内で保管されていた「映像音声データ」が何者かによって持ち出された。
この機密情報漏洩事件が発覚した発端は、被害にあった会社の映像音声データが、インターネット上で売買されていたためである。
商品として市場に出ていないものばかりであり、会社内のデータが持ち出されたことは間違いない。
このことから、至急、出品者へ連絡を取り、商品を送ってもらうことにしたそう。
後日、商品が届き、発送元を確認したが、名前と住所は架空のものであり、犯人の特定につながりそうな情報は、得ることができなかったとのこと。
すぐに出品者へ商品の差し止め願いと共に、出所を聞いたが、逆にデータを買い取れと恐喝してきた。
その後も、何度か恐喝メールが送られ、他にも作品を多数持っていることを示唆した上で、「全てを買い取れ」と要求してきた。
しかも、高額な金額を仮想通貨で支払えと、細かく指示。
会社側としては、俳優やプロダクションなどとの契約もあり、市販前に作品が世に出回ることは問題になると判断、急遽、警察へ被害届を出し、機密情報漏洩事件として捜査してもらうことにした。
数日後、警察からの連絡で、発信者は海外のサーバー経由でメールしてきているため、発信人の特定は困難との回答であった。
事件概要をうかがい、依頼を受けた弊社は、漏洩した機密情報のデータ保管場所および、問題の流出映像のあるハードディスクからの指紋検出を実施することとした。
同時に、保管場所を出入りする者、ハードディスクを取り扱う者全員の指紋(関係者)を採取。
漏洩した機密情報のデータ保管場所と、ハードディスクから採取した指紋と関係者指紋を照合すると、関係者以外の指紋(遺留指紋)が検出された。
そこで、関係者以外の社員十数名の指紋を提供いただき、照合した結果、正社員Aのものと合致。
その証拠をもとに、依頼者が正社員Aを問いただしたところ、問題のハードディスクを持ち出したことを自供した。
しかし、個人的に鑑賞する目的であり、恐喝には関与していないと容疑を否認したとのことであった。
確たる証拠をつかむため、この正社員Aの素行調査を行うと、特定人物Bと、何度も接触するのを確認。
正社員Aと特定人物Bが、会食中に、情報漏洩と恐喝事件に関与している内容の会話を、調査員が聴取することに成功。
この事実をもって依頼者は正社員Aに事情を聞き、犯行を認めさせたとのこと。
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