物流会社からのご相談で、社員の更衣室で貴重品の盗難事件が発生した、とのことでした。
この社内窃盗事件の概要としては、女子社員の更衣室のロッカーに保管してあった財布から、現金1万円が抜かれており、数回にわたって被害にあっていたという内容。
最初のうちは、紙幣が1枚だけ抜かれていたため、被害者は自分の思い違いと感じていたと。
しかし、数回にわたりそのようなことがあったので、被害者は、財布の現金、紙幣の枚数を確認するようにしていたそう。
その矢先、またしても自分の財布から、現金1万円抜かれていることを確認したため、その旨を上司に相談し、今回の依頼に至ったとのことでした。
依頼者が言うには、女子のロッカー室は、建物の3階の奥に位置しており、1階と2階は、来客者や業者の出入はあるものの、3階に関しては、外部の人間がの出入りはないはず。
そのため、社内の関係者が犯人である可能性が高いと判断されました。
また、警察沙汰にして、大ごとにしたくはなく、なるべくなら社内で問題を解決したいとの意向でした。
この社内窃盗事件の鑑定物は、皮革製品の財布とかばんの2点。
これらは指紋検出の難度が高い材質であるため、ロッカーの扉部分も鑑定物に追加。
また、被害者の指紋を提供してもらい、除外鑑定を行う必要があることをお伝えしました。
まず、指紋鑑識チームを会社に派遣し、検出作業に入ると、盗難のあったロッカーの扉と内部周辺から、多数の指紋を採取することができました。
同時に、被害者の革の財布とかばんからも指紋の検出作業を行いました。
かばんと財布については、被害者の以外の指紋を採取することはできたものの、指紋照合に耐えられる指紋は、1個しか検出されませんでした。
これら採取した指紋と、犯人と想定される職場内の数名から指紋を秘匿採取し、照合していく流れとなりました。
※秘匿採取:対象者には告知せず、指紋を採取する方法
女子更衣室のロッカー扉、被害者の皮革の財布から採取された指紋と秘匿採取した指紋の照合作業に入る前に、この社内窃盗事件は意外な展開となりました。
鑑識チームが職場で指紋検出を行ったことがきっかけで、社内での盗難事件が明るみになり、事件発覚を恐れた女性社員の一人が、上司に名乗り出て、自分が犯人だと認める供述をしたそうです。
犯人が罪を認め、深く反省していることから、被害者の意向で刑事告訴はせずに、社内において、しかるべき処置をとり、無事解決したとのことです。
今回のケースでは、鑑識チームが出動したことをきっかけとして、指紋照合で盗難事件の証拠をつかむ前に、犯人が名乗り出て事件解決に至ったケースです。
依頼担当者は、「会社内での窃盗抑止対策としても効果がある」といわれていました。
【参考情報】
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