「目次」
・訴訟や裁判で筆跡鑑定が必要になる可能性がある場合の注意事項
筆跡鑑定や印章鑑定、画像鑑定のご依頼は、
①民事訴訟・裁判用の鑑定書作成、
②トラブルでの自己解決を求める一般簡易(自己納得型)鑑定、
この2パターンに分けられるといってもよいでしょう。
①は、訴訟などにおける裁判用の証拠・意見書として、あるいは反証資料として鑑定書を作成したい、というご要望です。
②は、ご自身でトラブルを解決したい、現状を把握したい、という事情から依頼を希望されるパターンで、
・嫌がらせの手紙、誹謗中傷、怪文書の犯人を特定したい
・偽造・捏造されたかもしれない印鑑や書類が出てきたので本物か確かめたい
・警察に相談しても相手にしてもらえなかった
・トラブルに巻き込まれたかも!とにかく早く問題を解決したい
このような問題の解決を求めてご依頼に至ります。
訴訟・裁判用鑑定書は、証拠、反証資料として使用できるような書式を使って、判定結果を冊子にまとめたものになります。
裁判官、弁護士や関係者に対して「どれだけ説得力を持たせた証拠なのか」を重視しして、法曹界関係者へプレゼンテーションをする目的で利用されます。
多くの対照文字群、対照箇所を使用し、多角的な判断基準から説得力の高い結論を導き出していきます。
簡易的な鑑定書よりも分厚く、説得力のより高い証拠、反証資料となります。
裁判用に鑑定書を作成する場合、正本のほかに、通常2部の副本が必要となります。
通常以下のような項目が記載されます。
・目的
・対象物
・資料の提供者など
・鑑定結果
・鑑定理由
・鑑定実務
・鑑定資料・対照資料
・鑑定事項群と対照事項群の照合鑑定
・相異性について
・相同性について
・考察
・鑑定日・鑑定場所・鑑定人について
・鑑定機材
・参考資料等
※アール・アンド・アイでは、多数の裁判、訴訟案件を担当している多くの弁護士や、日本全国の地方裁判所からの依頼を、長年にわたってお引き受けいたしております。
筆跡鑑定が民事訴訟や裁判で必要とされる目的として、最も多い実例は、「自筆証書遺言書無効確認」の裁判となります。
※「自筆証書遺言書無効確認」とは自筆証書遺言が、本当に自筆で作成されたかを問う裁判。
その他にも、
・契約書
・養子縁組届
・婚姻届
・離婚届
・遺産分割協議書など
これらの文書に係る裁判に必要とされることが多くあります。
いずれにしても、署名のみ、あるいは文字数の少ない筆跡鑑定を行わなければならないことが多く、そのため、署名だけの筆跡鑑定は信ぴょう性が低いとされることもあります。
そのため、訴訟や裁判で筆跡鑑定が必要になる可能性がある方は、署名や文字数の少ない筆跡鑑定をきちんと行える鑑定人を選ぶ必要があります。
・依頼者が自分で真偽を確認し、納得するため
・社内処分
・個人間での交渉
これらのように、一般人間での交渉事に多く使用されます。
簡易鑑定の大きな特徴は、万人にわかり易い形式で作成されている、ということです。
また、一般簡易(自己納得型)の鑑定書であっても、裁判証拠として提出することは可能です。
しかし、裁判証拠として提出する場合の重要ポイントは、裁判官に証拠として認めてもらえるかどうか、になります。
一般簡易鑑定では、証拠として不十分となる可能性もあるため、注意が必要です。
鑑定士には、国家資格というものがなく、自称すれば誰でも「鑑定士(鑑定人)」として名乗ることが可能です。
作業の特殊性、判定結果への信頼性から、専門企業・警察OBなどが、民間の研究所や民間機関を立ち上げるケースも多く見受けられます。
しかし、特に筆跡鑑定、筆跡の判定ともなると、鑑定士の経験と感性による判断が根拠となるため、そこに絶対の保障がありません。
そのため、裁判において双方の鑑定士がそれぞれ異なる結果を出すことも珍しくありません。
そこで裁判官が証拠として一方を採用し、もう一方を却下することになるため、裁判官が「信用できる」と考えるような、鑑定書の内容や経歴を持つ鑑定士を選ばなくてはなりません。
その信用性を測るとき、鑑定士がこれまで、
・どのような実績を持ち
・どれだけの数の鑑定を行い
・実務をどこで勉強したのか
・公平に判断を行っているか
このようなことが重要なポイントになるのです。
「鑑定書」=「鑑定人による強い意見書」となります。
また、検証や判定が上手くいったとしても、裁判で誤解なく適応する文章作成能力の不足により、理論的な結論を導き出すことができなければ意味のないものとなってしまいます。
以下、裁判所のパンフレットより抜粋
鑑定人とは
中立、公正な立場で鑑定を行う人です。
鑑定人は、専門的な学識・経験を有し、かつ社会的にも信頼されている専門家の方々の中から、裁判所が依頼します。
鑑定人は争っている当事者のどちらか一方の立場に立つのではなく、中立、公正な第三者の立場から、専門的な学識・経験に基づいて鑑定を行っていただきます。
鑑定結果は、鑑定人御自身の責任で出していただきますが、鑑定作業を補助者に手伝わせたり、他の専門家の意見を参考にすることは差し支えありません。
【参考サイト】
裁判所ホームページ
裁判所のパンフレットには、このように記載されています。
鑑定人は、社会的にも信頼されている専門家であり、中立、公正な第三者の立場から鑑定を行わなければなりません。
|